旅先に居ります→日本に居ります

海外旅行中、心配して下さる方々への生存確認日記です

会話の仕方

半年ほど前のことだけど、ラジオで会話の仕方を解説していた。


こんな感じ↓


知人と話していて、相手がこう言ってきた。
「そういえば今度、北海道に旅行に行くんですよ」


あなたは何と言いますか。





















答えは三択じゃないけど例えば
1)いいですね、北海道のどこですか
2)そうですか、私は沖縄に行くんです
3)いいですね、私は仕事が忙しくて、なかなか連休は取れないんです
ぐらいが例に挙げられる。


普通に考えれば、まともな人なら1)。
前提として特に何も決められてないし
「知人」だし、敬語だし。


2)だと相手がどこに行こうが興味がなく、自分の話ばかりする人だと思われる。
3)も相手には関心がなく、でも妬み嫉みはある人だと思われても仕方ない。
2)も3)も人の話を聞く気がまったくない。


今の例の場合、相手がごく普通に「今度北海道に行く」と言っているのだから
こちらもごく普通に相手が行く北海道の話を聞き出す受け答えをすればよい。
相手は北海道の話をしたいと思っている。
それに寄り添うのが会話というものだ。
どうしても今急いで伝えなければならないことがあるなら別だけど
今それは想定されていない。


今この場では1)に近い返答を思い浮かべた人も
実際の会話の場面で気をつけてほしい。





私はこのラジオを聴きながら、何人かの「知人」の顔が思い浮かんだ。
あの子もこの子もこんな感じだ、って。
自分のことは棚に上げて。


その後いろんな人と関わって、1)みたいな受け答えができない人は案外多いのかも、と思い始めた。
思っているほど2)3)は少数派ではない気がする。


これとは少し違うけど、何人か人がいる中で、AさんがBさんに対して
ピアノは何歳まで習ってたの?と聞いて
Aさんが「中学までです」と答えた後すかさずCさんが
「あたしは高校までやってました」と答えたこともあった。
それまで盛り上がっていたBさんと楽器の関わりの話が、そこでプッツリと切れて
しばらく沈黙。


いや、あんた聞かれてへんで、と私は心のなかで思いつつ
黙って聞いていた。
沈黙も聞いていた。
(最近は面倒だからこういうときの助け舟は出さない。
意味のわからない発言は拾ってあげない。)


フランスへ行く前からそうだったけど
こういう会話の齟齬がここ数年気になってて
帰国後なぜかとても気になって、私を疲れさせる。
そしてこういうことを黙って自分の中で消化できない。
なぜあの子はあの場でああいう受け答えをしたのだろうと、かなりの期間悩む。
受け答えという表現は適切でないかも。
受けても答えてもいない、2)や3)の答えよりももっとひどい、
受け答えのタイミングでまったく違うことを言っているやり取りを
どうにか正当化しようと試みたり、やっぱりおかしいよねと否定したり。
こういう場ででも、誰かに言わないと自分が間違ってるのかなと思ってしまう。
無駄に小心者なので。



それにしても、いつから我々はこうなったんだろう。
なぜこうなったんだろう。
なぜラジオで、日本人向けに日本語の会話の仕方を解説しているんだろう。
(そして恐らくこれが必要な人々は大概ラジオなんて聞かない(笑))



仕事上の応酬と違って、普段の会話では聞くこと寄り添うことのほうが大事。
私も気をつけねばなあと、会話に耳を澄ます。